家ができた時から、無理なく生活がはじめられる、等身大な家。

 

日本の風景や街並みに馴染む、安定した佇まいの家。

 

現代に生活に適合しながらも、懐かしさを感じる家。

 

機能的でありながら、包容力と応用力のある家。

 

年月の経過とともに、飽きることなく、むしろ味わいと魅力がでる家。

 

虚飾のない、実直でシンプルな家。

 

このような家をイメージして設計を重ねてゆくと、家を一つの〝かたち〟にまとめることができました。奇しくもそれは、〝家の絵を描いてみて。〟と言って描かれる、シンプルな普通の家のかたちです。さらに家のかたちの種類は、そんなに必要ではないことも見えてきたのです。

 

家と食べ物は、人にとって生きてゆくためになくてはならないものであるがゆえに似ているところがあります。では本当に日本人にとってなくてはならない食べ物はというと、それは毎日食べても飽きのこない、そして風土や歴史や記憶と結びついた白い米であることはおよそ異論のないところでしょう。そしてその白い米という確固たるベースがあるからこそ、多種にわたる料理が引き立ちます。

 

家は食事のように毎日変えることはできません。だからこそずっとずっと何十年住んでも飽きのこない白い米のようなtimelessな家が望ましいのではないでしょうか。そんな安定したベースがあればこそ、そこから多種な営為が自在に展開され、その住まい手の個性や様々な価値観が豊かに輝いてゆくのです。つまり飽きのこない主食が家であり、おかずは毎日変化する暮らしであるのではないかと思います。

人は元気のよい健康な時もあれば病める時もあります。希望にあふれた時もあれば、失意の底にあることもあるでしょう。そんなどちらの心身の変化にも対応できる、寛容さをもっているのが白い米のようなベースであり、そのことが家に必要であることは言うまでもないでしょう。

 

白い米に、大きさや形の違いはほとんどありません。その米を入れるお茶碗のサイズや形にも大きな違いはないのが面白いところです。人の身体に馴染む、そして機能的で合理的なものは一つのかたちに収斂されるのでしょう。一見そのありようは地味で、つまらないものに映る時もあるかもしれません。しかし肝心の米やお茶碗の〝味〟や〝質〟は同じではありません。

微妙な差異によって大きく美味しさが変わってゆきます。私は家に対しても色、形、大きさといった目に見えるものの違いで個性を出すのではなく、目には見えにくい〝質〟によって個性を表現したいと思っています。

 

そして大切なことは家の色、形、大きさが合理的に統一されると、街並みや風景の美しさにつながってゆくということです。世界中の美しい街をイメージしてみてください。その風景を形成する家の外観、かたちにはそれぞれ差異がないことが見て取れるでしょう。

外観、かたちに種類がないということは、貧しいことでも退屈なことでもなく、むしろ美しい景観を生み、暮らしの変化を楽しめる、とても豊かなことであることが見えてくるのではないでしょうか。そして何より大切なのは、外観、かたちが一定で変わらないからこそ、より家の〝質〟を見つめられるというところなのです。

 

バイオリンの形は700年前から変わっていません。それほど合理的で美しいかたちがすでに完成されていたのでしょう。バイオリンを作る人は、そんなすがた形を変えて個性を出すのではなく、あくまでも音楽的な〝音の質〟を追求しているのです。成熟した豊かな世界がそこに見て取れます。

 

ではその目には見えにくい、けれども大切な〝質〟はどのように獲得できるのでしょう。

 

 

 

 

 

魅力的な質をもった家には次の3つの要素がバランスよく備わっていると言われます。

 

F(function)機能

C(comfort)快適

A(ambience)雰囲気

 

まずF(機能)、で大切なのは、日本の建築の最も大切な役割である雨を合理的に防ぐ機能がしっかりと備わっていることです。屋根には勾配があり、軒庇が出ていることは必須でしょう。その他、地震に対して強いことや、維持管理がしやすいこと、あるいは燃費がいいということも大切な家の機能です。それに加え私は〝生活動線が機能的である〟ことも大切なことだと思っています。様々な人の心身の状況に呼応したしっかりとした動線計画がある家とない家では質に大きな差が生まれます。

生活には必ず裏動線が必要であり、例えば買い物から帰ってきて食材を台所に運ぶ動線や、洗濯をして干して畳んで収納する動線、あるいは病気の時、人目に触れずにトイレや水周りに行ける動線は裏動線です。これらがコンパクトにまとまっており、さらに表動線とは別ルートにあると実に機能的です。

 

次にC(快適)、で大切なのは、やはり温熱環境でしょう。夏涼しく、冬暖かい。気持ちの良い風が抜ける。生活の嫌な臭いがない。そしてそんな快適な環境を得るためには高い断熱性能と気密性能、そしてそれに適合した換気システムが必須です。高気密、高断熱というと息苦しい、夏は暑いのではという先入観を抱いている方が多いのですが、それは間違いです。

しっかりとした断熱、気密をとれば冬でも夏でも室温は一定しており、家中どこに行っても快適です。夏、二階に上がったら暑い、冬に北側の部屋に行ったら寒いということがなくなります。そのことにより物理的には小さい家でも家中の稼働率が上がり広々と暮らせます。

また冷暖房の熱が逃げないので少ないエネルギーで暮らすことができます。そして何より、冷え性が治ったり、ヒートショックがなくなるなど最も大切な〝健康〟のために家が大きなサポートをします。また建物の静寂性も飛躍的に向上します。なお高断熱、高気密をするにあたっては建物の形は単純でシンプルな形が適しています。

 

上記のF、Cに対してA(雰囲気)はより抽象的で個人差もあるので具体的に言葉で表現することが難しいのですが、いい家においてとても大切な要素であり、しかし家を建てる時に意外と忘れがちなことなのです。

家を建てる時、一般的にFとCから考えはじめると思いますが、それらだけを追求しすぎると、家が住まい手だけのもの、つまり利己的なものになってしまうきらいがあります。自分さえ快適ならいい、という考えですと家の表情がとても閉鎖的になってしまいます。家の外観はみんなのもの、という意識をもち、街並みや風景に寄与する利他的な設えをすると、家の雰囲気がとても良くなります。

家の高さや大きさを抑える、樹を植える、外壁の素材を味わいのあるものに変えてみる、窓のデザイン、プロポーションを整えてみる、道路沿いに高い塀を作ることを見直してみる、それらは外観の雰囲気を良くするだけでなく、不思議なことに室内の雰囲気においても、住まい方に対してもいい効果を生み、住まい手の人生が豊かでおおらかなものになります。

道行く人が、〝ああ、いい家だな。〟と感じられる雰囲気のいい家が街にたくさん生まれれば、それはやがていい街へと変わってゆきます。
点が線に面になってゆく雰囲気のよい仕組み作りが私の最大の関心事なのです。

 

fca ドローイング

 

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建築家

ほりべ やすし

堀部安嗣

 

 

一九六七年 神奈川県横浜市生まれ

一九九〇年 筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業

一九九一年〜九四年 益子アトリエにて益子義弘に師事

一九九四年 堀部安嗣建築設計事務所を設立

二〇〇二年 「牛久のギャラリー」で第18回吉岡賞を受賞

二〇〇七年 京都造形芸術大学大学院教授

二〇一六年 「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞(作品)を受賞

 

代表作に

「南の家」「ある町医者の記念館」「伊豆高原の家」

「KEYAKI GARDEN」「イヴェール ボスケ」「阿佐ヶ谷の書庫」

「竹林寺納骨堂」「鎌倉山集会所」など。

 

著書に

『memento mori』(森オフィス)

『時の居場所』(森オフィス)

『静寂の音 Sound of Silence』(森オフィス)

『堀部安嗣の建築 form and imagination』(TOTO出版)

『書庫を建てる 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト』(共著/新潮社)

『堀部安嗣作品集 1994-2014 全建築と設計図集』(平凡社)

『堀部安嗣 小さな五角形の家 全図面と設計の現場』(学芸出版社)

『堀部安嗣 建築を気持ちで考える』(TOTO出版)など。

 

体験予約

二〇一七年八月十一日(金)より 予約申込開始
二〇一七年九月二十三日(土)より 「モデルハウスOPEN」 体験開始

 

 

 

「fca」をもっと身近に感じてもらうために、

モデルハウスでの二時間の予約体験をご用意しております。

この家での生活を想像しながら、

自由にごゆっくりお過ごし下さい。

 

【一日限定三組】の予約体験を実施しております。(火・水曜日休み)

左記事項をご確認のうえ、

「予約申込ボタン」よりお進みください。

 

 

・アンケートは当日いらっしゃる方がご記入ください。

・学生・建築家のご予約はお断りしております。

・日程・時間のご希望は、予約申請後に行います。

・基本的に、間取りの変更はできません。[間取りを見る]

・施工エリアは、福岡県とその周辺になります。
(お気軽にご相談ください)

※予約が殺到している場合、日程・時間のご連絡が遅くなる
ことがございます。予めご了承ください。

 

モデルハウス

〒八一九―〇〇一五

福岡県福岡市西区愛宕 四―二十一

@hitマリナ展示場「斉藤工務店」

TEL:092-892-8858

 

 

 

──お車でのアクセス

福岡都市高速道路「愛宕ランプ」より約三分

──福岡市営地下鉄でのアクセス

「室見駅」より徒歩十五分

──西鉄バスでのアクセス

「能古渡船場行き」に乗車、「豊浜団地」より徒歩一分

 

イベント情報

 

「fca」モデルハウスでは、

定期的にコミュニティイベントを開催しております。

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詳しい内容に関してはFacebookページをご覧ください。